会場 | : | メインシアター (東4ホール) |
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個々の患者レベルでゲノム情報解析し、治療に生かす『個別化医療(Precision Medicine)』の概念が急速に広がりつつある。遺伝子を特定の細胞に発現させる遺伝子治療や、疾患関連遺伝子の発現を抑制する核酸治療は、次世代医療を切り拓く有力な技術になると期待される。特に、新型コロナウイルスに対するRNAワクチンが承認されてから、遺伝子治療の新たなモダリティとしてmRNAに注目が集っている。本発表では、これらの核酸・mRNA創薬を実現する上で、有用なDrug delivery system(DDS)の1つである脂質ナノ粒子(LNP)について、その原理や開発の歴史、さらには最近の開発動向について概説する。この中で、我々の開発している環境応答性脂質様材料(SS-cleavable and pH-activated lipid-like material)についても紹介したい。
会場 | : | メインシアター (東4ホール) |
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1999年に大阪大学医学部卒業後,長田重一教授の下でアポトーシス細胞の除去機構を研究し2004年に博士(医学)を取得.米国ハーバード大学医学部(Michael Greenberg研究室)HFSPフェロー,京都大学医学研究科助教を経て,2011年に大阪大学免疫学フロンティア研究センターで独立准教授として研究室を立ち上げ,エクソソームの研究を開始.2015年より金沢大学医学系教授,2017年より同ナノ生命科学研究所教授を併任.
近年、細胞外小胞エクソソームを用いた創薬開発が世界で加速しており、本邦でも昨年PMDAからガイドラインが公表されるなど、その実現に向けた体制整備が急速に進んでいる。私達は遺伝子改変技術を用いて、T細胞の活性化に必要な①抗原-MHC複合体、②補助シグナル、③サイトカインを同時に発現させて免疫制御機能を高めたデザイナーエクソソームを開発し、これまでの技術では不可能であった「がん細胞のみを特異的に攻撃する細胞傷害性T細胞」や「自己免疫疾患のみを特異的に抑制する制御性T細胞」などを、デザイナーエクソソームを用いて体内に効率的に作り出す新規免疫制御法の開発に成功した。国内企業と協力して高機能・高品質なエクソソーム製剤の製造を実現化することで、がん・感染症・自己免疫・アレルギーなど様々な疾患に対する効果的かつ副作用のない日本発のエクソソーム創薬を目指している。