メインシアター (東1ホール)

2023年2月3日(金)

【nano tech 特別シンポジウム】創薬に向けたナノ構造解析最前線

【主催】nano tech実行委員会
【開催時間】9:30-11:00 事前登録

【重要】本シンポジウムは 9:30 開始のため東 1 ホール専用入口までお越しいただきますようお願いいたします。(展示会場は 10:00 開場) 詳細:https://www.nanotechexpo.jp/pdf/annai_symposium_gateopen.pdf

※当日聴講席に空きがございましたらご案内可能です。ぜひ会場までお越しください。
 
AMED BINDS事業におけるクライオ電顕の整備状況と新規サンプル調製法の紹介
クライオ電顕の自動化・遠隔化による創薬の加速化にむけて
9:30-10:00 事前登録
会場: メインシアター (東1ホール)
井上 豪

大阪大学

大学院薬学研究科

教授

井上 豪

【講演者プロフィール】

[経歴] 1989大阪大学工学部卒,1994同 工学研究科博士課程修了(博士(工学)),2008同 工学研究科 教授,2018から現職, 2001 JSTさきがけ(兼務), 日本結晶学会評議員, 日本蛋白質科学会 庶務執行役員, AMED生命科学・創薬研究支援基盤事業(BINDS) PS, 日本学術会議連携会員, 2019からJST OPERA領域統括
[受賞] 2008文部科学大臣表彰科学技術賞


【講演概要】

創薬研究の加速化には標的蛋白質の立体構造情報の取得は必須であり、近年では、従来のX線結晶解析法やNMR 法に加え、クライオ電子顕微鏡(Cryo-EM)を用いた単粒子解析法が目覚ましい発展を遂げている。分子量制限があるものの結晶化が不要であり、解析に必要なサンプル量も少なく、生理条件に近い状態の構造を観察できる。日本医療研究開発機構(AMED)BINDS事業でも装置の導入と人材育成に注力しており、Cryo-EMの利用状況をはじめ、本事業の紹介を行う。一方、大阪大学ではCryo-EMでボトルネックとなっているサンプル調製にかかる時間を大幅に短縮できる新手法の開発を進めている。透明性や優れた機械的強度をもつグラフェンを酸化し、エピクロロヒドリン修飾によって蛋白質の固定化を可能にするEG-grid®を開発しており、これを用いた構造解析例を紹介する。

立体構造情報を活用したDNAナノテクノロジーと創薬への応用
10:00-10:30 事前登録
会場: メインシアター (東1ホール)
近藤 次郎

上智大学

理工学部物質生命理工学科

准教授

近藤 次郎

【講演者プロフィール】

2004年3月 東京工業大学大学院生命理工学研究科博士課程修了。博士(理学)
2004年4月~2010年3月 ストラスブール大学IBMC-CNRS 博士研究員。2010年4月より上智大学理工学部に着任、2015年4月より准教授。2015年 科学技術分野の文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞。mRNAターゲット創薬研究機構理事。


【講演概要】

 DNAはすべての生命が遺伝物質として用いており、化学的に安定で、生体適合性が高く環境負荷が低いという優れた性質をもっている。また、化学合成法が確立されているため、バイオナノマテリアルとしての応用が進められている。
 我々の研究室では、X線結晶解析を基盤技術として、疾病に関連するRNAを検出するDNAや、環境中の水銀イオンを検出するDNA、さらにはDNAと重金属のハイブリッドナノマテリアル(ナノワイヤー・ナノクラスター・ナノロッド)など、さまざまな機能性DNAのStructure-Based Designを行っている。また、AMEDの生命科学・創薬研究支援基盤事業(BINDS)では、DNAナノテクノロジーを応用してRNAを標的とした医薬品の構造解析技術の開発にも取り組んでいる。

神経変性疾患に蓄積する異常タンパク質の生化学、構造解析
10:30-11:00 事前登録
会場: メインシアター (東1ホール)
⻑⾕川 成人

東京都医学総合研究所

脳・神経科学研究分野長

認知症プロジェクトリーダー

⻑⾕川 成人

【講演者プロフィール】

1988年、東京都老人総合研究所でアルツハイマー病の研究を開始。1995年、MRC LMBに留学。1999年、東京大学薬学部講師。2001年、東京都精神医学総合研究所の分子神経生物学部門長。2006年、前頭側頭型認知症および筋萎縮性側索硬化症に蓄積するタンパク質を解析。その後患者脳に蓄積するタンパク質のプリオン様性質を解析。最近はMRCのMichel Goedertらと様々な変性疾患脳における異常タンパク質の構造解析に取り組む。


【講演概要】

多くの神経変性疾患では、病的な蛋白質の蓄積が特徴であり、その脳内の広がりは疾患の進行と密接に関連している。タウは微小管結合タンパク質、αシヌクレインはシナプスに存在するタンパク質、TDP-43は不均質なリボ核タンパク質である。病理学的な条件下では、これらのタンパク質は脳の神経細胞やグリア細胞で糸状の凝集体を形成し、神経変性を引き起こします。アルツハイマー病のようにタウが蓄積する疾患をタウパチー、パーキンソン病のようにαシヌクレインが封入される疾患をシヌクレインパチー、ALSのようにTDP-43が封入される疾患をTDP-43プロテインパチーと呼んでいます。私たちはこれらのタンパク質の生化学・構造解析に取り組んできました。最近の低温電子顕微鏡解析により、そららの構造が解明され、神経変性疾患におけるプリオン様伝播のメカニズムが明らかにされつつあります。