メインシアター (東1ホール)

2023年2月1日(水)

【nano tech 特別シンポジウム】酸化物型全固体電池実現への道

【主催】nano tech実行委員会
【開催時間】15:00-17:00 事前登録 満席

文部科学省「材料の社会実装に向けたプロセスサイエンス構築事業(Materialize)」サブプログラムディレクター 伊藤 忠 氏
※当日聴講席に空きがございましたらご案内可能です。ぜひ会場までお越しください。
 
酸化物型全固体電池の実現に向けたプロセスサイエンスへの挑戦
15:00-15:40 事前登録
会場: メインシアター (東1ホール)
高田 和典

物質・材料研究機構

エネルギー・環境材料研究拠点

拠点長

高田 和典

【講演者プロフィール】

1986年 大阪大学大学院理学研究科物理学専攻博士前期課程修了、同年 松下電器産業中央研究所、1991年 大阪市立大学より博士(工学)。1999年 無機材質研究所 特別研究員、2002年 物質・材料研究機構 主幹研究員、2018年より現職。


【講演概要】

固体電解質を用いた電池の全固体化は、電池の信頼性を飛躍的に高めることにより、車載用や定置用などのカーボンニュートラル達成に必要とされる蓄電池の実現につながるものと期待されている。硫化物系固体電解質を使用する電池では、極めて高い性能が達成され、車載用途を目指した開発が進められている。一方で硫化物系固体電解質が大気中でも分解する不安定な物質であることから、安定性に優れる酸化物系固体電解質の利用が求められているが、酸化物型全固体電池の性能は固体電解質の物性から期待されるものに遠く及ばない。弊機構の「マテリアライズプロジェクト」では、酸化物系固体電解質の物性を電池性能として発揮するためのプロセスサイエンスの構築を目指している。講演では、カーボンニュートラル達成における全固体電池に対する期待、酸化物型全固体電池実現への課題、マテリアライズプロジェクトにおける取り組みの概要を紹介する。

酸化物型全固体電池における低温接合プロセスへの挑戦
15:40-16:00 事前登録
会場: メインシアター (東1ホール)
三好 正悟

物質・材料研究機構

エネルギー・環境材料研究拠点

主任研究員

三好 正悟

【講演者プロフィール】

2004年東北大学工学研究科機械知能工学専攻博士課程修了、博士(工学)。2004年九州大学工学研究院応用化学専攻学術研究員。2006年アーヘン工科大学物理化学研究所ヨーロッパキャノン財団リサーチフェロー。2007年東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻特任助教、2007年同助教、2016年同講師。2016年より現職。


【講演概要】

安全性に優れた高性能な次世代電池として期待される酸化物型全固体電池の作製方法として、電解質を緻密に焼結するとともに電極活物質との接合を達成する一括焼成プロセスが期待されるが、高温における焼成により電解質/電極活物質界面に高抵抗な異相が生成する恐れがある。本講演では、異相の生成反応を抑制することを目的とする焼成プロセスの低温化に向けた、酸化物固体電解質の焼結性を向上させるための取り組みについて発表する。

酸化物型全固体電池の接合界面の反応予測へのアプローチ
16:00-16:20 事前登録
会場: メインシアター (東1ホール)
大出 真知子

物質・材料研究機構

構造材料研究拠点

主任研究員

大出 真知子

【講演者プロフィール】

2002年 東京大学工学系研究科金属工学専攻博士課程修了、博士(工学)。2001年 日本学術振興会特別研究員(DC2)、2003年より物質・材料研究機構にて、主にフェーズフィールド法を用いた材料ミクロ組織の形成過程の計算機シミュレーションに従事、現在に至る。2018年より 名古屋大学客員准教授。


【講演概要】

全固体型リチウムイオン電池は電解質の種類により主に硫化物型と酸化物型に分類される。硫化物系電解質は導電率や加工性において酸化物系より優れているものの、大気中の水分と反応して硫化水素を発生させるなど化学的安定性が懸念される。一方、酸化物系電解質は、それ自体は化学的に安定であるものの、電池作成に高温プロセスである焼結法を用いねばならず、プロセス中に電解質と電極活物質が反応し不純物相が析出してしまう問題がある。本研究では、酸化物型全固体電池の不純物反応相予測に対する熱力学計算の有効性を検討するため、LiCoO2(LCO)/Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3(LATP)系など、代表的な系を対象に反応相の予測と実験観察との比較した結果を紹介する

酸化物系固体電解質を用いた積層全固体電池の実現に向けた材料・プロセス開発
16:20-16:40 事前登録
会場: メインシアター (東1ホール)
川村 知栄

太陽誘電株式会社

開発研究所 材料開発一部

主任研究員

川村 知栄

【講演者プロフィール】

1998年太陽誘電(株)入社,2008年博士(工学)学位取得。誘電体セラミックナノ粒子合成,負極材チタン酸リチウム合成,全固体電池向け固体電解質材料合成、プロセス開発に従事,現在に至る.専門は無機合成化学.


【講演概要】

IoT社会の浸透により、小型で安全性が高く、過酷環境での使用が可能な電池への要求が高まっている。当社では「薄膜電池の応答性」と「バルク電池の容量密度」を兼ね備えた全固体電池を目指し、材料・プロセス開発を進めている。MLCC技術を活用した酸化物系固体電解質材料の微粒子合成、電池の薄層・多積層化、一括焼成について検討した内容について紹介する。

LLZ系酸化物固体電解質および全固体電池の開発
16:40-17:00 事前登録
会場: メインシアター (東1ホール)
彦坂 英昭

日本特殊陶業株式会社

材料開発本部 研究部

主席専門職

彦坂 英昭

【講演者プロフィール】

1998年3月東北大学大学院博士課程修了。同年4月に日本特殊陶業株式会社に入社。R&D部門に所属し、切削工具、水素分離膜等の研究開発に従事。2015年より、酸化物固体電解質および固体電池の研究開発に従事し、現在に至る。


【講演概要】

次世代電池の有力な候補として、全固体電池の開発が盛んに行われている。開発は硫化物が先行しているものの、将来的にはより安全性の高い酸化物への期待が大きい。酸化物型全固体電池は焼結を必要とするため、界面形成のハードルが高く、且つ大型化も難しいという課題がある。我々は、酸化物で非焼結型とすることにより、これらの課題の解決を図っている。本講演では、まず日本特殊陶業におけるMg,Sr置換Li7La3Zr2O12固体電解質の開発について紹介し、次にそれを用いた酸化物系非焼結型電池の開発について報告する。