SURTECH/InterAquaステージ (東5ホール)

2023年2月2日(木)

【基調講演】持続可能な水供給で拓く社会 ~革新的水処理技術の今とこれから~

【開催時間】10:15-11:45 事前登録 無料 満席

 
POU用の極超低圧RO膜・モジュール
10:15-11:00
会場: SURTECH/InterAquaステージ (東5ホール)
遠藤 守信

信州大学

特別栄誉教授

遠藤 守信

【講演者プロフィール】

信州大学特別栄誉教授、1990年より信州大学工学部教授として新炭素体やリチウムイオン電池など先端新炭素体の電子物性とその応用を主対象として研究展開している。炭素に関する研究成果が評価され、2004年のAmerican Carbon Society Medal、2012年の国際セラミックス賞、2017年のカナダ・ケベック州立大学名誉博士号、2020年の春の叙勲 瑞宝中綬章など国内外で受賞。


【講演概要】

UNICEFによれば汚染水で命を落とす子供は年間30万にもなり、家で手を洗えない30億人が様々な感染症の危機にさらされている。また世界では水道の普及が十分ではない国があり、さらに水道水を直接飲用できるのはわずか9ヶ国に過ぎない。先進国でも渇水や上水の汚染が報道されるように、飲料水問題は世界共通の喫緊の課題である。かかる水問題の解決策の一つに、POU(point of uses)用の逆浸透(RO)膜モジュールを用いた浄水システムがある。その場合、RO膜機能としてはオフ・グリッドで使える0.2~0.3MPa駆動が可能となるRO膜モジュールが要請される。ここではCOIプロジェクトでの海水淡水化用RO膜研究の成果を応用してPOU向けの極超低圧RO膜を開発した。ここではかかるRO膜モジュールについて、RO膜の構造と基本特性、動作メカニズム、モジュールの浄水性能と実装等について報告する。

信大クリスタルで挑むアフリカ水課題ソリューション
高性能なイオン交換結晶で実現する水をキレイにする化学,ならびにフラックス法による高性能無機結晶の創製
11:00-11:45
会場: SURTECH/InterAquaステージ (東5ホール)
手嶋 勝弥

信州大学

卓越教授

手嶋 勝弥

【講演者プロフィール】

2005年信州大学工学部助手・准教授を経て、2011年から教授(現:卓越教授)を務める。学長特別補佐と先鋭材料研究所長も兼務。MEXT地域イノベ・エコ事業やJST-CRESTなどの大型プロジェクトを主宰し,フラックス法による結晶材料の創製から社会実装までを実現している。これまでの論文・著書・解説は300を優に越え、出願/成立特許は100件以上。2022年1月に設立した信大発ベンチャー“ヴェルヌクリスタル(株)”のCTOを務める。


【講演概要】

タンザニア・ケニアなどの東アフリカでは,フッ素が多量に溶解した地下水の飲用による健康被害が深刻な問題となっている。我々は,フラックス法で作製した結晶材料を“信大クリスタル”と名付け,環境・エネルギーなどのさまざまな分野で活用している。特に,重金属イオン(陽イオン)やフッ化物イオン・硝酸/亜硝酸イオン(陰イオン)などの有害イオンを水中から高効率に除去する無機イオン交換結晶の創製に成功している。この信大クリスタルは,高イオン選択性,高イオン交換容量,高速イオン交換性などの優れた性能をもつため,きわめて簡便な浄水デバイス/システムを提案できる。国内では,浄水材料としての活用とともに,信大クリスタルで浄水した特徴的な地産水を用い,醸造分野をはじめ,さまざまな分野で製品を上市している。東アフリカの活動では,信大クリスタル浄水材料を搭載した小規模・緩速ろ過システムを設計・設置し,FSを開始している。