メインシアター (東2ホール)

2022年01月26日(水)

【特別シンポジウム】
次世代蓄電池開発をリードする材料技術最前線

【主催】nano tech実行委員会
【開催時間】15:00-17:00 事前登録

 
ナトリウムイオン電池とカリウムイオン電池の材料研究
15:00-15:30 事前登録
会場: メインシアター (東2ホール)

駒場 慎一

東京理科大学(兼:京都大学 ESICB) 

理学部 応用化学科

教授

駒場 慎一

【講演者プロフィール】

1998年 早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了
1998-2005年 岩手大学工学部助手
2003年 フランスCNRSボルドー固体化学研究所・博士研究員
2005年 東京理科大学理学部第一部応用化学科,講師,准教授を経て2013年から現職

2014年度 日本学術振興会賞
CALTECHレズニック研究所リゾネートアワード2014
2020年 日本化学会学術賞
Highly Cited Researchers 2019, 2020, 2021


【講演概要】

リチウムイオン蓄電池には,リチウムやコバルトなどの希少金属が必要である.リチウムと同じアルカリ金属元素であるナトリウムやカリウムを用いることで,希少金属や毒性元素を必要としない新しい蓄電池を作ることが可能となる.本講演では,高性能ナトリウムイオン蓄電池実現の鍵を握る新材料と新反応について,特に正極,負極,電解液に関する材料研究をもとに,リチウムイオンを超える高いエネルギー密度を実現する材料設計や最近の実用化動向を述べる.さらに,カリウムイオン蓄電池の材料研究の最先端成果も交えながら,レアメタルフリー新型二次電池の将来性を紹介する.

清浄な電解質/電極界面を活用した全固体電池の開発
15:30-16:00 事前登録
会場: メインシアター (東2ホール)

河底 秀幸

東北大学

大学院 理学研究科 化学専攻

助教

河底 秀幸

【講演者プロフィール】

2015年 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 物質系専攻 博士課程修了、博士 (科学)
2015年 東北大学 原子分子材料科学高等機構 (現 材料科学高等研究所) 助手
2016年から現職
専門は、物性物理・電気化学・固体化学


【講演概要】

固体電解質を用いる全固体電池は、高い安全性や高エネルギー密度を兼ね備えた究極の電池であり、電気自動車や電子デバイスの次世代電源として期待されている。そうした全固体電池の実用化に向けた課題の一つが、固体電解質と正極材料の界面でのイオン移動に伴う抵抗 (界面抵抗)の低減である。そうした背景の中、私たちは、平均電圧が5 V程度である、Li(Ni0.5Mn1.5)O4を正極材料とした全固体電池において、清浄な電解質/電極界面を実現することで、極めて低い界面抵抗を実現し、それに伴う超高速充放電を実証した。また同時に、清浄界面ならではのイントリンシックな電気化学特性の評価も行ってきたので、本発表では、それらの研究成果についても紹介する。

AZUL触媒の開発と空気電池への展開
16:00-16:30 事前登録
会場: メインシアター (東2ホール)

藪 浩

東北大学

材料科学研究所

ジュニア主任研究者(准教授)

藪 浩

【講演者プロフィール】

2004年北海道大学大学院理学研究科化学専攻博士課程修了。博士(理学)。2004年北海道大学電子科学研究所助手、2007年東北大学多元物質科学研究所助教、2010年同准教授を経て2016年から現職。2020年東北大学ディステングイッシュトリサーチャー。研究室において見出されたAZUL触媒の知見を基に2019年7月共同設立者として東北大学発ベンチャーAZUL Energy株式会社を設立。取締役兼CSO。専門は高分子化学・材料科学。


【講演概要】

酸素還元反応は燃料電池や空気電池の正極におけるボトルネックとなっており、その触媒として白金炭素(Pt/C)が用いられている。しかしコストや資源制約、耐久性の問題から、代替材料の開発が求められている。我々は金属アザフタロシアニンの誘導体を炭素に分子吸着することにより、安価で高活性かつ耐久性の高いAZUL触媒の開発に成功した。また、東北大学発ベンチャーである「AZUL Energy株式会社」を設立し、本知見の事業化を目指している。本発表ではAZUL触媒発見の経緯とその特徴、事業化に向けた展開などについて紹介する。

高エネルギー密度なリチウム空気電池の開発
16:30-17:00 事前登録
会場: メインシアター (東2ホール)

松田 翔一

物質・材料研究機構

エネルギー・環境材料研究拠点 二次電池材料グループ

主任研究員

松田 翔一

【講演者プロフィール】

2015年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了、博士(工学)。同年NIMS若手国際研究センターICYS研究員を経て、2017年より現職。


【講演概要】

リチウム空気電池は、高い還元力を有する金属リチウムと、大気中の酸素を活物質として利用するため、リチウムイオン電池の2~5倍以上のエネルギー密度を実現することが可能であり、次世代蓄電池の最有力候補である。実際に、500 Wh/kgを超えるセルも既に実証されており、リチウム空気電池の有する高いエネルギー密度の潜在能力は非常に魅力的である。一方で、サイクル数、パワー密度は、現行のリチウムイオン電池に比べて低い性能にとどまっており、電池性能を向上させるための材料開発が急務である。本講演では、次世代蓄電池開発状況について紹介した上で、リチウム空気電池の二次電池化に向けた課題、および、その解決方策に関する取り組みついて紹介する。