深海インスパイヤード化学とナノテクノロジー
2022年01月28日(金) 13:45-14:30
会場: シーズ&ニーズセミナーA(東3ホール)

出口 茂

海洋研究開発機構(JAMSTEC)

生命理工学センター

センター長

出口 茂


【講演概要】

海洋研究開発機構(JAMSTEC)は有人潜水船「しんかい6500」を運用する文部科学省所管の国立研究開発法人です。深海は高圧、暗黒、低温(または超高温)に支配された地上とは全く異なる世界です。JAMSTEC生命理工学センターでは深海の極限環境や深海生物の生存戦略に発想を得た「深海インスパイヤード化学」の研究を進めています。講演では深海インスパイヤード化学から生まれた2つのナノテク技術、「MAGIQ」と「SPOT」を紹介します。深海の温泉に発想を得たMAGIQは、「油分子の自己組織化」という従来法とは全く異なる原理に基づく超分子ナノ乳化技術です。ナノエマルションを流通式の連続プロセスで製造できることが大きな特徴です。深海の生物資源を開拓するために開発した「SPOT」は、地球上で最大のバイオマスであるセルロースの酵素分解をセンシングする技術です。1 pg程度の極微量のセルロースの酵素分解を超高感度かつハイスループットに定量可能です。