メインシアター (東2ホール)

2022年01月26日(水)

理化学研究所・富岳特別講演

【開催時間】12:50-13:35

 
マテリアル分野のDXにおける「富岳」への期待
12:50-13:35
会場: メインシアター (東2ホール)

松岡 聡

国立研究開発法人理化学研究所

計算科学研究センター

センター長

松岡 聡


【講演概要】

2021年3月に10年もの研究開発期間を経て運用が開始されたスーパーコンピュータ「富岳」は、世界トップクラスの性能とともに、ユーザやアプリケーションに関する広い汎用性や、他のITとの高い整合性を目指して設計されている。これにより、従来スパコンが一部の分野で実現していた高度な第一原理やAIを用いたシミュレーション技術が、IT全般に普及し、Society5.0へ向けたDXの中心的な役割を果たす。シミュレーションのメインストリーム化である「シミュレーション・ファースト」の広い適用性は、ものづくりにも大いなるDXをもたらし、我が国の産業競争力の強化につながる。現在それをめざしたさらなるマシンやソフト、運用や企業連携の高度化が推進されている。「富岳」は幅広いナノテクの分野で革新的な成果を挙げることが期待されており、単なるシミュレーション部分だけでなく、その汎用性からマテリアルインフォマティック全般に貢献するであろう。

「富岳」が拓くマテリアル研究
12:50-13:35
会場: メインシアター (東2ホール)

常行 真司

東京大学

大学院理学系研究科

教授

常行 真司


【講演概要】

マテリアル(物質、材料)研究におけるコンピュータシミュレーションの役割は、大きく分けて三つある。一つは基本方程式に基づきマテリアルをコンピュータ内の仮想空間に作り出し、計測の難しい物理量を計算することで、物性とその発現機構の理解を進めること、二つ目は未知の物性を予測すること、三つ目は大量のシミュレーションによる仮想スクリーニングに加え、機械学習などのデータ科学的手法を駆使して、所望の物性を持った新しいマテリアルを予測することである。スーパーコンピュータ「富岳」は高度なシミュレーションでも機械学習でも、これまでになく高い性能を有することから、マテリアル研究への貢献が期待されている。本講演では、文科省の「「富岳」成果創出加速プログラム」で採択された7つのマテリアル課題(電池、磁石、半導体、高分子など)での先端事例を紹介し、スパコンを駆使した今後のマテリアルDXについて展望する。