北海道大学の最新の研究シーズを紹介します
ナノテクノロジーに関連する最新の9テーマを厳選してご紹介します。
高機能性ナノ粒子、それらを利用したガス吸着分離やプロパン脱水素触媒への応用、着雪防止等に有効な高滑液性表面、直接アンモニア型水素膜燃料電池、光や超音波を利用した流体計測技術、Beyond 5G/6G実現に資するSiフォトニクス技術など、多岐に渡っています。リアル展示では、研究者からのプレゼンも予定していますので、ご期待ください。
環状PEGによる金ナノ粒子の分散安定化法(工学研究院 准教授 山本 拓矢)
代表的な生体適合性高分子であるポリエチレングリコール(PEG)を環状化し金ナノ粒子と混合することで表面に強く吸着し、高温・凍結乾燥状態・生理条件を含む多様な条件において優れた分散安定性を示す方法を開発しました(図1)。この方法は現在広く使用されているチオール化PEG(HS–PEG–OMe)との化学吸着よりも分散安定性に優れており(図2)、動物実験でも効果を示しました。
多孔体内部への無機物質の均一担持に向けた高効率気相プロセス(工学研究院 助教 岩村 振一郎)
本発表では多孔質炭素などの多孔体内部の空隙・細孔にTiO2などのナノ粒子を高効率で担持する技術を紹介します。本技術は従来の気相法や液相法などによる担持と比べ、ナノレベルで均一かつ担体との接触状態が良好な担持が可能です。さらに、簡単な装置・操作で実施可能であるためスケールアップ性が高いことに加え、担体と担持する無機物質に様々な材料を適用できることが期待できます。
金属有機構造体を有する複合材料及びそれを用いたガス分離材(地球環境科学研究院 教授 野呂 真一郎)
均一な細孔構造を有する金属有機構造体は既存多孔性材料(活性炭やゼオライト)を超える優れた多孔性機能を発現することができます。
本展示では、金属有機構造体のガス分離特性を向上させる新しい手法”金属有機構造体とガス分離層である非多孔性ガラスの複合化”について紹介します。
規則性合金を用いた高効率触媒反応系の開拓(触媒科学研究所 准教授 古川 森也)
プロパン脱水素によるプロピレン製造において、高温条件下で世界最高の耐久性を大幅に更新する新触媒の開発に成功しました。白金とガリウムの合金ナノ粒子を鉛とカルシウムにより二重に修飾した触媒が600℃の高温下でも極めて高い耐久性(1カ月間安定)を有することを見出しました。また水素キャリア(MCH)から水素を取り出す反応においても、高い活性・選択性・耐久性を示す高性能触媒を開発したので合わせて発表します。
自己規則化ナノ構造を利用した高耐久性滑液表面(工学研究院 教授 幅崎 浩樹)
金属表面にアノード酸化技術を用いて形成した自己規則化ナノポーラス酸化物皮膜を利用して、密着性、耐久性に優れた高分子固体滑液表面を創ることに成功しました。
水のみならず低表面張力の油も転落角10°以下の優れた滑液性を示します。
防汚、難着雪・着氷、耐食性表面などとしての応用が期待されます。
中温領域で作動する直接アンモニア型水素膜燃料電池の開発(工学研究院 准教授 青木 芳尚)
・燃料電池の未踏領域でもある中温域(400-600℃)で作動するアンモニア燃料電池を創出します。
・中温域にて世界最高出力(1.2mWcm-2@550℃; 0.6mWcm-2@450℃)のアンモニア燃料電池を創出しました。
・定置型アンモニア燃料電池、または可燃性の産業排出ガス(例:製鉄業などにおけるコークス炉からの排ガス)による燃料電池発電への展開が期待されます。
Siフォトニクスを用いたアナログRoF信号のMIMO処理デバイス(情報科学研究院 准教授 佐藤 孝憲)
Beyond 5G/6Gで採用が見込まれている「アナログ光無線(A-RoF)」の実装に向けた、RoF信号 (無線信号により変調された光信号)のMIMO処理デバイスを開発しています。光行列積演算技術に基づくRoF信号の光位相制御により、ビームフォーミング/ビームステアリングといったMIMO処理を可能とする新しい技術の提供を試みています。光演算回路はシリコンの光回路で構成され、集積度やコストの観点からも期待できるものであります。
カラー3次元流動空間測定システム(工学研究院 教授 村井 祐一)
液体や空気の3次元非定常流動を3次元の速度ベクトル場として計測する光学システムを開発しました。カメラが1台、レインボウカラーを照射する液晶プロジェクタ1台、それにラップトップPC1台の組み合わせで実現できます。10mm以内の境界層の計測から、テニスコートサイズの空間の流れまで対象とすることが可能です。空気中の粉体・液滴の飛散や、液体中の攪拌構造や乱流渦を3次元定量計測できることが特徴です。
超音波を用いた流動物性計測装置(工学研究院 准教授 田坂 裕司)
日常生活、生産現場、自然界には、食品や泥水など、固体や別の液体、気体が混ざった混相状態の液体が遍在しています。粘度や弾性など、そのマクロな流動物性の評価は、食の安全性評価や輸送の高効率化など、幅広い分野で重要です。超音波流速分布計測によるレオメータは、既存の計測機器では評価が困難な、混相流体の物性や化学反応などによる物性の経時変化を計測できる画期的な計測方法です。
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北海道大学 産学・地域協働推進機構