理化学研究所計算科学研究センターは、社会の革新的発展を目指し、科学や社会が抱える課題の解決に貢献するため、最先端の計算科学研究を推進する世界トップレベルの研究センターです。
スーパーコンピュータ「富岳」は社会的課題と科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、成果をあげることを目的に開発されました。本展示では「富岳」の高い計算性能、マテリアルDXでの利用事例、「富岳」の利用方法をご紹介します。
スーパーコンピュータ「富岳」
「富岳」は4つの性能ランキング(TOP500、HPCG、HPL-AI、Graph500)において4期連続の世界第1位を獲得しました。これは「富岳」のスーパーコンピュータの潮流を変える技術的インパクトの大きさと、シミュレーション、AI、ビッグデータ処理における総合的な性能の高さを示すものであり、Society5.0/SDGs実現のための情報基盤技術として十分に対応可能であることを実証するものです。
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スーパーコンピュータ「富岳」を含むHPCIの産業利用案内
「富岳」を含むHPCIは、日本国内外の研究者及び企業の方が利用可能です。利用課題を申請し、審査で採択される必要があります。利用課題には主に学術界向けの一般・若手課題と産業界向けの産業課題があり、さらに無償と有償の課題があります。最初は資格審査のみの試行課題での利用をお勧めします。詳しくは動画や資料をご覧ください。
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マテリアルズ・インフォマティクスの利用事例
国内のスーパーコンピュータシステム(HPCIシステム)を利用して先進的な材料を開発した企業の事例を紹介します。材料開発では、材料データを用いて機械学習による予測モデルを作り材料設計に活かすマテリアルズ・インフォマティクス(MI)という新しい試みが進められています。シミュレーションを行って対象となる材料特性のメカニズムを解明し、それをもとに不足する材料データを生成しようというアイデアです。
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「全固体電池」開発の利用事例
次世代蓄電池の研究開発をHPCIが加速する事例として、液体より安全で高性能な固体電解質を用いた「全固体電池」開発への取り組みをご紹介します。機械学習を用いた界面構造の自動探索によって、安定な構造を効率的に抽出する手法を開発しました。
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【開催時間】12:50-13:35
国立研究開発法人理化学研究所
計算科学研究センター
センター長
松岡 聡氏
【講演概要】
2021年3月に10年もの研究開発期間を経て運用が開始されたスーパーコンピュータ「富岳」は、世界トップクラスの性能とともに、ユーザやアプリケーションに関する広い汎用性や、他のITとの高い整合性を目指して設計されている。これにより、従来スパコンが一部の分野で実現していた高度な第一原理やAIを用いたシミュレーション技術が、IT全般に普及し、Society5.0へ向けたDXの中心的な役割を果たす。シミュレーションのメインストリーム化である「シミュレーション・ファースト」の広い適用性は、ものづくりにも大いなるDXをもたらし、我が国の産業競争力の強化につながる。現在それをめざしたさらなるマシンやソフト、運用や企業連携の高度化が推進されている。「富岳」は幅広いナノテクの分野で革新的な成果を挙げることが期待されており、単なるシミュレーション部分だけでなく、その汎用性からマテリアルインフォマティック全般に貢献するであろう。
東京大学
大学院理学系研究科
教授
常行 真司氏
【講演概要】
マテリアル(物質、材料)研究におけるコンピュータシミュレーションの役割は、大きく分けて三つある。一つは基本方程式に基づきマテリアルをコンピュータ内の仮想空間に作り出し、計測の難しい物理量を計算することで、物性とその発現機構の理解を進めること、二つ目は未知の物性を予測すること、三つ目は大量のシミュレーションによる仮想スクリーニングに加え、機械学習などのデータ科学的手法を駆使して、所望の物性を持った新しいマテリアルを予測することである。スーパーコンピュータ「富岳」は高度なシミュレーションでも機械学習でも、これまでになく高い性能を有することから、マテリアル研究への貢献が期待されている。本講演では、文科省の「「富岳」成果創出加速プログラム」で採択された7つのマテリアル課題(電池、磁石、半導体、高分子など)での先端事例を紹介し、スパコンを駆使した今後のマテリアルDXについて展望する。
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理化学研究所 計算科学研究センター
計算科学研究推進室