大学発の技術で世界中の水を安全できれいに
信州大学アクア・イノベーション拠点は、世界中の人々が安全な水にアクセスできるように、多様な原水から安全で適正な価格の水を最小の自然負荷で提供できる技術およびシステムの開発と、その事業化を目指しています。ナノカーボン材料を用いた革新的な逆浸透(RO)膜による海水淡水化技術や、超低圧高透水性RO膜をはじめとする様々な用途に応じた膜技術、無機結晶材料よる重金属除去技術と海外での実証事例等を紹介します。
ナノカーボンを用いた高機能逆浸透(RO)膜技術
「ナノカーボン逆浸透(RO)膜」は、21世紀素材のカーボンナノチューブに代表されるナノカーボン材料を従来の脱塩用高分子膜に使用したもので、脱塩・透水性に加えて耐ファウリング(汚濁)性や耐塩素性等のロバスト(頑強)性に優れた高機能な水分離膜です。大学内に設置した大型製膜装置で70m長の連続機械製膜を行い、小型モジュール作製装置でモジュール化し、モジュールの性能向上・各種産業応用のための評価試験を実施しています。
ナノカーボン逆浸透(RO)膜を用いた環境にやさしい海水淡水化
ナノカーボンRO膜の「汚れにくい」特性を活かし、処理の簡易化、環境負荷の大幅低減により、低コストで、海洋汚染を最小化する環境調和型の海水淡水化システムを構築。実用化・製品化を視野に、国内外で実海水を用いた実証試験を行っています。北九州市でのパイロット試験では、市販膜と比較し膜表面への付着物が少なく、モジュールの差圧上昇がなだらかで膜汚染が進行しにくいなど、信大開発膜の優位性を確認しました。
超低圧高透水性CNF/PA逆浸透(RO)膜によるPOU浄水システム
POU(Point of Use)浄水器用のセルロースナノファイバー(CNF)/芳香族ポリアミド(PA)複合逆浸透(RO)膜モジュールを新たに開発。アメリカの認証機関NFSインターナショナルの「ANSI158」認証(RO浄水器)を国内で初めて取得。高レベルの不純物除去、科学的安定性、防汚性などの優れた機能を有するこの膜を使用した浄水器は、水道水圧程度の超低圧でオフグリッド使用できるため、脱ペットボトル化やSDGs(ゴール6)への貢献も期待されます。
信大発の技術が支える東アフリカの安全な水環境
東アフリカの地下水には地質由来の高濃度フッ素が含まれ、高濃度フッ素水の飲用により骨が奇形するフッ素症を患う人が多数います。電力と高度な維持管理が必要なため膜による除去は適用できず、過剰揚水による地下水資源の枯渇や水不足による過剰フッ素飲用が進むことが予測されます。この問題解決のため、地下水の適正な管理方法や村落でも持続的な管理ができる過剰フッ素吸着材や簡易モニター手法を開発し、現地で適用します。
プラットフォーム「AxC-PF」から生まれる水のネットワーク
アクア・ネクサスカーボン-プラットフォーム(AxC-PF)は、当拠点を中心に蓄積した研究成果・知識を社会に展開する、産官学民から構成する会員制の基盤組織です。講演会・懇談会、HP・レター配信、イベント等PR活動の情報交換・交流を行いながら、ワーキング部会(調査・議論)とともに共同研究・協創の創出を目指したソリューション創造型研究支援を行っています。
【会員募集中】http://www.shinshu-u.ac.jp/coi/AxC-pf/
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信州大学アクア・イノベーション拠点
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