会議棟(7階 国際会議場)
2020年12月09日(水)
【特別シンポジウム】
ナノテクノロジーと感染症
【主催】nano tech実行委員会事務局
【開催時間】10:30-15:00
事前登録
ナノテクノロジーの観点から感染症に切り込む豪華セッションです。
mRNAナノワクチン実用化に向けた核酸送達技術の開発
10:30-11:00 事前登録 アーカイブ配信
(公財)川崎市産業振興財団 / 東京大学
ナノ医療イノベーションセンター / 未来ビジョン研究センター
センター長 / 特任教授
片岡 一則氏
【講演者プロフィール】
1979年東京大学大学院博士課程修了(工学博士)。東京女子医科大学、東京理科大学勤務を経て、1998年より東京大学大学院工学系研究科教授。2004年より同医学系研究科教授併任。2016年東京大学名誉教授・特任教授、川崎市産業振興財団副理事長・ナノ医療イノベーションセンター長。フンボルト賞(2012年);江崎玲於奈賞(2012年);高松宮妃癌研究基金学術賞(2017年)等受賞。2017年に米国工学アカデミー外国人会員に選出。
【講演概要】
抗原遺伝子を用いたワクチンは、迅速な設計が可能であり、COVID-19に対して広く検討されている。その利点を生かして本研究では、抗体産生に依存しない細胞性免疫によるSARS-Cov2ナノワクチンの開発を行っている。このナノワクチンは、2本鎖RNAを部分的に有するmRNA及び高分子ミセル型送達担体(ミセル)からなり、mRNA自体が持つ免疫賦活化作用が高められ、アジュバントが不要になるという利点を有する[Biomaterials 150, 162-170 (2018)]]。ミセルは、安全かつ効率的に投与局所にmRNAを導入でき、その安全性は、大動物でも実証されている[J. Control. Release 167, 238-247 (2013)]。既に、部分2本鎖mRNAナノワクチンの筋肉内や皮内への投与により、優れた細胞性免疫誘導活性が得られることを確認しており、順調な研究の進展が得られている。
※講師のご都合により録画配信となりました。#Withコロナ(抗菌・抗ウィルス)
ナノテクとAIで新型コロナの重症化を防げ!
11:00-11:30 事前登録 アーカイブ配信
東京大学大学院理学系研究科 / カリフォルニア大学ロサンゼルス校工学部生体工学科 / 武漢大学工業科学研究院
教授 / 非常勤教授 / 非常勤教授
合田 圭介氏
【講演者プロフィール】
UC Berkeley理学部物理学科を首席で卒業。MIT大学院理学部物理学科の博士課程を修了(理学博士)。CaltechとUCLAを経て、2012年より東京大学大学院理学系研究科教授。2019年よりUCLA工学部生体工学科と武漢大学工業科学研究院の非常勤教授を兼任。日本学術振興会賞、市村学術賞、日本学士院学術奨励賞、文部科学大臣表彰科学技術賞などを受賞。専門は光量子科学、分析化学、生体医工学。
【講演概要】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化と血栓症の関連性は周知のとおりである。実際に、重症患者の約8割に深部静脈血栓症を認め、また、脳梗塞、急性冠症候群などの動脈血栓も含む多彩かつ複雑な血栓症の発症が認められ、COVID-19の死因の約4割は血栓症によるものである。COVID-19関連血栓症の病態解明と重症化リスクを早期評価する適切な血栓診断ツールの開発は喫緊の課題であるが、Dダイマーなどの血液検査マーカーは血栓形成の評価であるため、不十分である。本講演では、従来技術を凌駕する、ナノテクとAIを用いた画期的な血栓検査法を紹介する。#Withコロナ(抗菌・抗ウィルス)
グラフェンFETによる高病原性ウイルスの超高感度検出
11:30-12:00 事前登録 アーカイブ配信
大阪大学産業科学研究所
名誉教授 / 特任教授
松本 和彦氏
【講演者プロフィール】
1981年 東京工業大学大学院博士課程修了 工学博士
1981年 通商産業省 電子技術総合研究所 電子デバイス部入所
1988年~1990年 スタンフォード大学 電気工学科 客員研究員
1993年 電子デバイス部 微構造エレクトロニクス研究室 室長
2003年 大阪大学 産業科学研究所教授
2012年 大阪大学 産業科学研究所 副所長
2014年 大阪大学 COI研究推進機構 研究統括リーダー
2018年 大阪大学 名誉教授
【講演概要】
グラフェン電界効果トランジスタ(FET)を利用して、高病原性のウイルスを高感度に検出する技術を紹介する。
グラフェンは、シリコン半導体の100倍〜1,000倍の極めて高い200,000cm2/Vsの移動度を有し、さらに2次元電子ガスがその表面に局在するという特殊な性質を有している。この特徴によって、グラフェンはその表面への物質吸着による電気伝達特性が極めて大きく変化する性質がある。このグラフェン表面に-相互作用によって、ウイルスと選択的に結合する種々のレセプター分子を効率的に修飾する独自技術の開発に成功した。これにより、インフルエンザウイルスや抗体を選択的に検出できる技術を確立した。本技術はレセプターを変換するだけで、新型コロナウイルスや他のウイルスの検出にも適応できる幅広い技術である。
#Withコロナ(抗菌・抗ウィルス)
ナノポアを用いた感染症検査システム
12:00-12:30 事前登録 アーカイブ配信
大阪大学産業科学研究所
教授
谷口 正輝氏
【講演者プロフィール】
2001年京都大学大学院工学研究科分子工学専攻博士課程修了(工学博士)。
大阪大学、JSTさきがけ研究員を経て、2011年より、大阪大学産業科学研究所教授。
2013年DNAシークエンサー、
2018年ナノポアのベンチャー企業を創業。
文部科学大臣若手科学者賞、Gottfried Wagener Prize、日本化学会学術賞などを受賞。
専門は、1分子科学、微細加工技術。
【講演概要】
ナノポアと機械学習が融合したAIナノポアは、検体の体積・構造・表面電荷の違いを読み取ることで、1個のウイルスや細菌を高精度に識別する。ナノポア直径の最適化と検体を学習させるだけで、望みの検体を検出する検査装置を迅速に開発できるプラットフォーム性が、AIナノポアの特徴である。新型コロナウイルスを学習させて開発した検査システムを紹介する。
#Withコロナ(抗菌・抗ウィルス)
感染症領域における製薬企業の取り組みの現状と課題
14:00-14:30 事前登録 アーカイブ配信
塩野義製薬株式会社
医薬研究本部
感染症領域シニアフェロー
山野 佳則氏
【講演者プロフィール】
演者は、1986年に塩野義製薬に入社後、35年にわたって医薬研究本部における創薬に関連した研究開発に携わっており、薬剤耐性菌、HIV、インフルエンザウイルスなどを標的とした新規薬剤の研究開発に成功してきた。感染症領域における研究マネージャー、創薬研究所長を経て、現在は感染症領域シニアフェローとしての役割を担う中で培ってきた経験をもとに、感染症領域におけるさらなる創薬に取り組んでいる。
【講演概要】
新型コロナ感染症の世界的流行を一日も早く収束させることを目指して、新型コロナ感染症のワクチンや治療薬の開発が世界的規模で盛んにおこなわれており、感染症領域における企業の創薬活動に注目が集まっている。
一方で、新型コロナ感染症以外にも、グローバルヘルスを脅かす可能性がある感染症は多数知られているものの、感染領域における企業の創薬活動は必ずしも活発ではないのが現状である。その大きな理由としては、特定の感染症の流行地域・時期・規模の予測が難しく、継続的に安定した事業として行う上では、企業にとってリスクの大きい領域であることが挙げられる。このような状況を打破するためには、産官学の協力体制が極めて重要であり、将来の感染症リスクを見据えた上での、技術開発・治療および予防薬の開発・継続的な事業とするためのサポート体制が欠かせない。
感染症領域における創薬活動の現状と課題を自社の事例を出しながら概説したい。#Withコロナ(抗菌・抗ウィルス)
欧州の医療デバイスデザインとナノ化技術について
14:30-15:00 事前登録 アーカイブ配信
Zenius株式会社
代表取締役
六車 惟氏
【講演者プロフィール】
新卒入社したベンチャー企業にて、リーマンショック倒産を経験。
その後、年間100日以上欧米に渡り医療機器開発事業を3年で確立。
欧米の医療機器メーカ、優秀なエンジニアと触れ合う中で、
日本の医療機器開発の遅れを痛感。2016年にzenius株式会社を設立。
日本の医療機器開発を世界基準にすべくリーガルとビジネスの領域を牽引。
慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2020年度Red dot design award
デザインコンセプト部門において、best of the best award受賞。
【講演概要】
私たちは、グローバルな医療デバイスのデザインイノベーションファームです。
zeniusは創業以来、医療機器、特にDDS(ドラッグデリバリーシステム)領域において
世界をリードしている欧米の医療デバイスメーカーや製薬メーカと数多く連携し、
デザイン開発を支援してまいりました。
そこで、高度な設計を製品化できる日本のものづくり技術・品質が高く評価される一方で、
それらを活かした日本発の医療デバイスが少ないことに改めて気づかされました。
事実、日本の医療デバイス市場の多くは輸入に頼っており、
日本のインサイトやヒューマンファクターをベースにした
国内での医療デバイス開発が今後よりいっそう必要だと強く感じました。
本公演の前半では、欧州の最先端の医療デバイスデザインやその考え方をご紹介しつつ、
後半では、テーマに沿って弊社がコラボレーションし注力している、
スイスベンチャーとのDDS(ナノ化)技術をご紹介いたします。#Withコロナ(抗菌・抗ウィルス)