メインシアター(西1ホール会場内)
2020年1月30日(木)
バイオエコノミーに貢献する材料開発最前線
【主催】新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
■ 講演概要
温暖化など地球環境問題がより一層大きな課題となっている現在、バイオテクノロジーや生物資源等を利活用し、持続的かつ再生可能な循環型の経済社会をつくる概念としての「バイオエコノミー」に注目が集まっています。
2019年6月に政府が策定した「バイオ戦略2019」においても、「2030年に世界最先端のバイオエコノミー社会を実現する」ことが全体目標として掲げられています。
本セミナーでは、バイオエコノミーに貢献する材料開発を題目に、これまで長くバイオプラスチックの研究に従事された土肥義治先生の基調講演の後、NEDOプロジェクト「非可食性植物由来化学品製造プロセス技術開発」の成果をご紹介します。本プロジェクトは「バイオ戦略2019」の中で市場領域として掲げられている「高機能バイオ素材」「バイオプラスチック」を対象としています。
開会挨拶
14:00-14:05
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
理事
今井 淨氏
基調講演 「バイオエコノミー社会実現に向けたバイオ素材開発」
14:05-14:35
東京工業大学 名誉教授、理化学研究所 名誉研究員
名誉教授、名誉研究員
土肥 義治氏
【講演者プロフィール】
1993年に高分子学会賞、2012年に文部科学大臣表彰科学技術賞、2019年にバイオインダストリー大賞
【講演概要】
再生可能なバイオマスからバイオプラスチックをつくる研究開発は、1990年頃から始まり、21世紀に入り活発化した。海洋汚染防止や低炭素社会構築のために、社会が海洋にて生分解するバイオプラスチックを必要とし始めた。本講演では、バイオエコノミー社会実現に向けたバイオプラスチックの研究開発の現状と課題を紹介したい。
プロジェクト成果報告① 「木質系バイオマスから各種化学品原料の一貫製造プロセスの開発」
炭素循環時代の化学産業革命へ
14:35-15:05
京都大学
工学研究科化学工学専攻
教授
前 一廣氏
【講演者プロフィール】
1980年 京都大学工学部化学工学科卒
1982年京都大学大学院工学研究科化学工学専攻修士課程修了
1982年 (株)神戸製鋼所入社、化学技術研究所研究員
1986年 京都大学工学部助手
1992年 京都大学論文博士(工学)学位取得
1994年 京都大学工学部助教授
2001年 京都大学工学研究科教授(化学工学専攻)
現在に至る
2008年~2011年 京都大学教育研究評議員
2014年~2016年 (公社)化学工学会会長
2018年~ 京都大学産官学連携本部 副本部長
【講演概要】
まず、バイオマスの化成品利用の有効性及び課題について考える。次に、この解決手段として2013年度から7年の計画で進めてきたNEDOプロジェクトの経緯、概要を参画各企業の成果のトピックスを交えながら紹介すするとともに、プロジェクトで得られたベンチスケールのデータから、木質バイオマスの化成品製造に対する製紙/化学連携一貫プロセスの経済的効果を示す。また、今後、社会実装に必要な事項を考察し、循環型社会におけるバイオマスの化成品利用の今後について私見を述べる。
プロジェクト成果報告② 「京都プロセスによるセルロースナノファイバー強化樹脂の開発」
21世紀のモノづくりはベジタリアン
15:05-15:35
京都大学
生存圏研究所
教授
矢野 浩之氏
【講演者プロフィール】
京都大学生存圏研究所生物機能材料分野教授、農学博士。
1986年京都大学農学研究科林産工学専攻博士後期課程中退。1986年京都府立大学助手。同講師、京都大学木質科学研究所助教授を経て2004年より現職。
2014年-2016年ナノセルロースフォーラム会長。
2005年セルロース学会 林治助賞、2009年日本木材学会賞、2016年第37回本田賞、2017年米国紙パルプ技術協会ナノテクノロジー部門賞を受賞
【講演概要】
セルロースナノファイバー(CNF)は、すべての植物細胞の基本構成成分で、木質系バイオマスの約半分を占める持続型資源である。軽量、高強度、低熱膨張のナノ繊維であることから、樹脂補強繊維への利用が期待されている。本NEDOプロジェクトでは低コストでの高性能セルロースナノファイバー強化樹脂製造を可能にするパルプ直接混練法“京都プロセス”を開発し、様々な熱可塑性樹脂に応用した。
バイオエコノミー推進に向けたNEDOの取り組み
15:35-15:45
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
材料・ナノテクノロジー部
部長
吉木 政行氏
【講演者プロフィール】
1989年大阪大学大学院基礎工学研究科後期課程より日本電気(株)入社、センサ、半導体プロセス等に関する研究開発に従事。
2003年独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構入構。研究開発推進部 主査および主幹、電子・情報技術開発部 主幹、 電子・材料・ナノテクノロジー部 主幹および統括主幹を経て、2016年4月から材料・ナノテクノロジー部 部長、現在に至る。工学博士。