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マテリアルステージ(西3ホール会場内)

2020年1月31日(金)

サステナブル社会に向けたプラスチック・スマート最前線

 

基調講演

未来をになう生分解性プラスチック
10:15-10:55

岩田 忠久

東京大学

大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻

教授

岩田 忠久

【講演者プロフィール】

1989年京都大学農学部林産工学科卒業。1992年フランス国立科学研究センター・植物高分子研究所に留学。1994年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了、京都大学博士(農学)。理化学研究所高分子化学研究室・研究員、副主任研究員を経て、2006年東京大学現所属・助教授。2012年同教授、2018年総長補佐。2006年繊維学会賞、2010年ドイツイノベーションアワード、2018年高分子学会賞を受賞。


【講演概要】

海洋マイクロプラスチック問題に代表されるように非分解性プラスチックの廃棄物による環境汚染が地球規模の大問題となっている。環境中の微生物の分泌する分解酵素により二酸化炭素と水にまで完全に分解される「生分解性プラスチック」はその解決策の一つとして期待されている。本講演では、生分解性プラスチックの開発現状、高性能なフィルムや繊維などの実部材に向けた基礎研究、海・川・土中における環境分解、分解酵素を用いた生分解性速度の制御機構の解明など、生分解性プラスチックという新たな学問分野の創出を目指して研究を推進している演者のこれまでの研究成果について紹介する。また、今後の目指すべき生分解性プラスチックのあり方について、演者の思いを述べる。

ポリ乳酸(PLA) ~用途拡大のための性能改良
11:05-11:35

金高 武志

トタルコービオンPLA b.v. 日本連絡事務所

代表

金高 武志

【講演者プロフィール】

横浜国立大学にて高分子化学を専攻。凸版印刷(株)にて包装資材の研究開発に従事。ROHM AND HAAS社にてプラスチック用の添加剤の拡販に従事、Perstorp社にて生分解性樹脂のポリカプロラクトンの拡販に従事。現職トタルコービオンPLA社にてポリ乳酸(PLA)の市場開発に従事。日本バイオプラスチック協会(JBPA)技術委員長。


【講演概要】

ポリ乳酸(PLA)は植物由来であり、且つ生分解性を有するということから入口と出口の両面からのバイオプラスチックである。バイオプラスチックの認知度向上とともに、従来よりあるPLAの用途拡大も市場から切望されている。
しかしながらPLAは耐熱性が乏しく耐衝撃性にも優れない。加工にも難しさがあり、種々課題の残るプラスチックである。本講演では立体化学の制御により耐熱性を向上させたポリ乳酸について説明する。また、その他物性を向上させる手法について述べる。

パルプ素材によるプラスチック削減の取り組み -紙製バリア素材「シルビオバリア」について-
11:45-12:15

門田 優

王子エフテックス株式会社

営業本部製品開発部

部長

門田 優

【講演者プロフィール】

1989年王子製紙株式会社(現王子ホールディングス)に入社。同社商品研究所にてスパンボンド不織布およびスパンレース不織布の開発に従事。その後同社江別工場にて特殊紙・機能紙の研究開発に従事する。2013年王子エフテックス特殊紙営業部長、2014年同印刷特殊紙営業部長を経て、2017年より同製品開発部長。抄紙技術を活用した熱可塑性複合材料、高機能ガラス繊維不職布、紙製バリア材料などの開発に取り組み中。


【講演概要】

海洋ごみによる汚染問題は、それによりウミガメ、海鳥、クジラなどの生物が傷つき脅かされる報道に象徴され、注目を集めています。この汚染の主要因の一つとしてクローズアップされているのが「マイクロプラスチック」であり、欧州をはじめとする多くの国々において、使い捨てプラスチックに対する規制の強化が実施・検討されてきています。紙製品のもとになる「パルプ素材」は植物由来の素材であり、これからの使い捨て容器・包装に求められる環境への対応に対して、一つの手段になりうるものと考えられます。
 王子エフテックスでは、パルプ素材による様々な容器・包装材料を開発・提供してまいりました。今回はこれらパルプ素材による容器・包装材料のご紹介を行うとともに、新たに開発した紙製バリア素材「シルビオバリア」の特徴と応用の可能性についてご紹介します。

コカ・コーラの容器戦略
12:25-12:55

松岡 建之

日本コカ・コーラ株式会社

技術本部 プロダクト&パッケージコマーシャリゼーション

ディレクター

松岡 建之

【講演者プロフィール】

大手印刷会社にて容器開発の仕事に従事し、2002年日本コカ・コーラ株式会社へ入社。様々な容器の開発、軽量化を担当し、2019年に導入された「い・ろ・は・す」の容器開発も行った。その後、新製品の中味と容器を扱うプロダクト&パッケージコマーシャリゼーショングループを統括している。


【講演概要】

近年、地球温暖化、海洋プラスチックなど様々な環境問題に対して、製造メーカーはスピード感ある対応が求められている。コカ・コーラは以前より容器の軽量化、CO2排出負荷の低い原材料選定などを行ってきたが、更なる環境負荷低減を目指し、2018年1月にWorld Without Waste(廃棄物ゼロ社会)という戦略を世界的に発表し、循環型社会形成に取り組みを加速させている。また、2019年の7月には日本国内での達成目標を前倒しすることを発表した。本講演では、その戦略の概要を紹介する。