従来、紫外線防御剤として有機紫外線吸収剤と無機紫外線散乱剤が広く使われてきた。有機紫外線吸収剤がかかえる問題の一つに、肌が敏感な方や体質によっては刺激を感じることが挙げられる。加えて、近年では環境配慮の観点から有機紫外線吸収剤の使用を規制する国や地域が増加している。しかし、高い紫外線防御効果を期待して無機紫外線散乱剤だけを高配合すると、塗布時の感触や塗布後の外観を損なう可能性がある。そこで本発表では、これらの課題を解決する特殊形状酸化チタン「ST-700シリーズ」を紹介する。
ST-705, 710シリーズ：良好な感触と紫外線防御効果を有し、赤色透過効果により、適度なカバー力と透明感のあるファンデーションの仕上がりを実現。
ST-750シリーズ：良好な感触と透明性、SPF・UVAPFブースト効果を有し、近赤外線遮蔽効果により、太陽光による肌表面の温度上昇を抑制。

近年、特に海外においては環境や社会への配慮を重視したクリーンビューティの考えが広がっており、化粧品原料に関しても、透明性やサスティナビリティが求められています。本発表では、RSPO認証を取得し、高い自然由来指数を有しながら、特殊処理技術を採用することで優れた成形性と使用感を有する新原料、 CALMATT (RSPO) および MAGGLOW(RSPO) の物性評価データと応用可能性をご紹介します。
CALMATT (RSPO)：板状のガラスを核粉体とし、ミリスチン酸Ca で処理した、柔らかくなめらかな使用感を有する白色板状粉体
MAGGLOW (RSPO)：板状のガラスを核粉体とし、ミリスチン酸Mg で処理した、上品なツヤを有する白色板状粉体

従来、植物由来ワックスを使用したクレンジングバームは、硬度、液状油の保持性、経時安定性、またとろけやすさといった特性において、満足のいくレベルを達成することが困難であった。加えて、近年ではクレンジングバームが従来のジャー容器ではなく、衛生面、簡便性、携帯性の観点からチューブ容器に充填された製品が増加している。しかし、チューブ容器を使用する際、圧力がかかることでクレンジングバームのカードハウス構造が崩壊し、使用時の安定性に課題が生じていた。
長鎖脂肪酸が糖と結合した多糖類脂肪酸エステルである「レオパール」は、オイルゲル化剤として広く使用されており、ワックスゲルにもさまざまな効果を示す。そこで本研究では、レオパールと植物由来ワックスの特定の組み合わせにより、これらの問題を解決できることを見出し、その結果を報告する。

Zemea® Selectプロパンジオールは、保湿や防腐剤ブースター、有効成分の溶解性向上等の多機能を備えた100%バイオベースで低環境負荷なパーソナルケア素材である。
本素材製造時の更なる環境負荷の軽減と安定供給の為、2019年にLand O’Lakes Inc.社が主導で生産効率を高め、収量を増やす農業再生「Truterra™」活動に参加した。持続的な収量増加達成の為には、土壌の保全と改良、水、農薬と肥料の有効利用が必要であり、作物の生産管理、生産農家への指導とサポートが不可欠である。また「Truterra™」の契約農家が生産している工業用トウモロコシ原料から得られた本素材は、GHGの発生量が大幅に削減された事が確認された。
本セミナーでは、本素材の様々な機能とサスティナブルな「Truterra™」活動について紹介する。本素材は、パーソナルケア製品の効能に多機能に寄与するだけでなく、環境に優しいバイオ素材として消費者の需要に応える製品開発に貢献する。

これまで、洗浄剤のレオロジー調整は、界面活性剤の種類等によっては困難な場合があった。水溶性ビニルポリマーである「CARBOPOL®」は、その多機能性から、増粘剤、乳化剤、沈殿防止剤など、幅広い用途で使用されている。本発表では、レオロジー調整とユニークな機能を有する、下記三種類の洗浄剤向けカーボポールを、その特性と処方例とともに紹介する。
CARBOPOL® SC-800 POLYMER：アミノ酸系界面活性剤、及び、石鹸系界面活性剤の増粘が可能で、泡質を変えることなく、液状油を高配合可能（処方例ではトリオレインを20％配合）
CARBOPOL🄬 AQUA SF-1 POLYMER：粘度安定性や冬季の肌のかゆみを改善する、洗浄剤用の液状レオロジー調整剤
CARBOPOL® FUSION S-20：本質的生分解性を有し、低ｐH領域においても使用可能な洗浄剤用の液状レオロジー調整剤